てのしま 林 亮平 地方をめぐり、人と会う

今、自分の中で一番ワクワクするのは、日本各地に行ってその土地の食文化に出会うことです。地域のスーパーや道の駅に行くと、必ずいくつかは「何これ!面白い!」という食材やおやつ、お惣菜があるもの。そんなアイテムに出会うと、まだまだ知らないものが日本にはたくさんあるんだな、と気分が盛り上がります。

それと、地元の人と話すのも好きですね。食の専門家の方でなくても、その土地の日常の食について教えてくれるだけでとても勉強になります。もちろん、生産者さんに会って話すことも大好きです。

先日は山口県の油谷湾に行って、海水から伝統的な製法で塩を作っている現場を見せていただいたのですが、なんとそちらでは春夏秋冬で塩を作り分けていて、味が違うと言うんです。海のミネラルのバランスが四季により異なるので、それが塩の味に反映する。そんなことができるんだ! と驚き、一気に惹かれました。

この塩に出会い、塩についてもっと掘り下げて知りたくなり、日本料理と塩をテーマにしたイベントを思いつきました。来年に行う予定です。

さまざまなところに足を運ぶのは大切。学びがありますし、刺激もたくさんいただけます。

Photo Masahiro Goda Text Izumi Shibata

林 亮平

てのしま 林 亮平

Ryohei Hayashi
1976年、香川県生まれ。大学卒業後に「菊乃井本店」(京都)に入り村田吉弘氏に師事。17年間にわたり菊乃井で働く。2011年には上海万博会場の料亭「紫」料理長を務め、菊乃井では本店副料理長や赤坂店渉外料理長を務める。2018年、「てのしま」を独立開業。
このシェフについて