赤坂 桃の木 小林 武志 中華の枠を超えた挑戦〝新・桃の木中華〟を象徴する3品

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"新・桃の木中華”を象徴する料理

2020年3月、は"住み慣れた”御田町を離れ、赤坂に移転した「桃の木」。移転をきっかけに、「これまで通り、中華の王道を行きながらも、とくに食材に関しては中華の枠を超えた試みに、積極的に取り組んでいきたい」と話す小林武志氏に、"新・桃の木中華”を象徴する3品を作ってもらった。

新・桃の木中華一皿目「砂肝麻辣ソース和え」

「砂肝をジャジャジャッと薄切りにして、ネギ・生姜でワーッと和えてつくる」のが中華の定石だが、コース料理の一品としての役を張れるよう、きれいに仕上げられた。薄い味つけの麻辣ソースから辛みがほわっと立ち上り、実に上品な味わいだ。

赤坂 桃の木の料理「砂肝麻辣ソース和え」
ある程度育った鶏の、ちょっと大きめで新鮮な砂肝だからこそ、麻辣ソースの繊細な薄い味わいが生きる。付け合わせの香菜と人参が爽やかさを添える。ビールよりワインに合わせたい逸品だ。

新・桃の木中華二皿目「エビとゴルゴンゾーラの水餃子」

「実は20年前に考案していた」が、なかなか出す機会がなかったとか。青寄せやほうれん草を練り込んだ皮をつくるのは、大変な手間だったからだ。でもスタッフが増えるこれからは、もう大丈夫。「定番メニューに育てたい」と言う。

赤坂 桃の木の料理「エビとゴルゴンゾーラの水餃子」
エビとゴルゴンゾーラの相性はバッチリ。エビの優しい風味の間から、チーズの味がぐっと出てきて、パスタのような皮のモチモチ感と相まって「うまい!」の一言だ。中国ハムの味わいが効いたスープもいい。

新・桃の木中華二皿目「酢豚」

三皿目は、御田町時代からの定番、酢豚である。酢豚そのものは伝統を守る一方で、付け合わせをガラリと変えた。言うなればピクルスの中華版。レモンと梅干しで風味づけした甘酢のタレと、酢豚の甘酢、ザクロの甘さとの競演が楽しい。また「食べると蟹かにの味がする」ジャガイモと人にん参じんのピューレもおもしろい。

赤坂 桃の木の料理「酢豚」
酢豚のおいしさは御田町時代から折り紙付き。付け合わせのアイデアは「京都のフレンチ、ラ・ビオグラフィの滝本将博シェフの料理からヒントを得た」もの。互いの料理哲学に共感する二人は刺激し合う仲だとか。
小林 武志

赤坂 桃の木 小林 武志

Takeshi Kobayashi
1967年愛知県生まれ。辻調理師専門学校、同技術研究所で学んだ後、職員として8年間勤務。吉祥寺「知味 竹爐山房」「際コーポレーション」などを経て2005年、38歳の時に「桃の木」を開業。『ミシュランガイド東京』では二つ星を獲得。
このシェフについて