ミモザ 南 俊郎 炒めてミソをまとった上海蟹を豪快に

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個性豊かな若手料理人が多く登場している、昨今の中国料理だが、その中でもひときわ注目を集めているの「ミモザ」の南俊郎氏。上海の昔の日常料理をベースに、中国料理の知恵、伝統の味覚構成、シンプルだが的確な技術で人々を虜にしている。今回はそんな南氏に、上海蟹の一品を作ってもらった。

「ミモザ」の南俊郎氏が作る上海蟹の料理
上海蟹をぶつ切りにし、豆豉風味で炒める。撮影時は12月中旬。この時季に旨みを強めるオスを2杯、内子が濃厚なメスを1杯の割合で。ミソが全体に絡まる、食べ応えのある仕立て。

「今回紹介するのは、時季を迎えている(取材時12月半ば)上海蟹の料理です。上海蟹というと蒸すか、紹興酒に漬けるか、という調理が多いと思いますが、当店では丸ごと炒めてお出ししています。炒めたほうが食べ応えがあるように思うのと、ミソが全体に絡むので、身とミソを一緒に味わっていただけるのもポイント。味付けは、豆豉(中国の豆味噌)と、ほんの隠し味程度の豆板醤。蟹は殻ごとぶつ切りにしてあるので、そこにかぶりつく感じで、豪快に食べていただきます。少し変わった仕立てということもあり、お客様に喜んでいただいている一品です」(南氏)

炒める際は、まずは熱した鍋に殻を入れて十分に香りを出し、その後に身を入れ、次いで切る時に分けておいたミソ、調味料を投入。火を入れすぎると身が固くなり、またミソのしっとりとした食感、旨みが損なわれてしまうので注意なのだそう。ほどよい炒め具合で、上海蟹ならではの、他にない繊細さが前面に出る。そのポイントを狙っているのだ。

「当店は、お酒はワインを召し上がる方がほとんど。こちらの料理も、やさしいニュアンスのワインとぴったり。今までとは違う上海蟹の食べ方を楽しんでいただけると思います」(南氏)

南 俊郎

ミモザ 南 俊郎

Toshiro Minami
1983年徳島県生まれ。大学卒業後に料理の道に進む。「酒中花空心」(大阪)、「空心」(大阪)を経て、「シェフス」(東京・新宿)で働き、料理長を4年半務める。2016年に南青山に「ミモザ」を独立開業。わずか2年後にミシュラン一つ星を獲得。
このシェフについて