Wakiya 一笑美茶樓 脇屋 友詞 お客様が心底喜んでくれた、銘々盛り

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「お客様に喜んでいただきたい。中国料理の魅力を、多くの人に伝えたい」という一心で新しい試みを続ける「Wakiya 一笑美茶樓」の脇屋友詞氏。今回はゲストに喜んでほしいという気持ちを込めて提供を始めた前菜をご紹介しよう。

15年ほど前から作っている、脇屋氏定番の料理

「中国料理の前菜は大皿盛りが伝統ですし、格式もありますし、昔は誰もが「そういうものだ」と思っていました。でも実は遠慮が出るなど、食べる側は不自由が多かったのです。そんな雰囲気を私は感じていたので、伝統に背くことにはなるのですが、ある時、前菜を銘々盛でお出ししたらお客様が本当に喜んでくれた。この経験で吹っ切れ、少量多種で一人分ずつ盛ろう、季節感を出そう、五味を意識しよう、食感や彩りにも抑揚をつけよう……と、楽しみながら考えたのが今回紹介している前菜です」(脇屋氏) 脇屋友詞氏の定番料理「九つの喜び」

料理名は「九つの喜び」。「九」は中国で「久」と同じ発音で、お祝いの数字だ。食材も味もいろいろ、伝統的な品から和を感じる品までを織り交ぜ、一口サイズの9品を盛り合わせている。旬と五味を意識し、定番の品から変わり種の品、魚介、肉、野菜、豆腐などさまざまな味を楽しめる。

 
「ちなみにこの前菜の前には、例えば晩秋なら、上シャンタン湯(中華スープ)で溶いたポタージュ風の蕎麦がきの上に、翡翠色の銀杏ソースをかけた熱々の小さな一品をお出ししています。感覚としてはフレンチのアミューズのような料理ですが、蕎麦がきは和のものです。そして上湯を使っているので、当然中華のニュアンスもある。他ジャンルであっても気に入った要素は自由に取り入れ、楽しみながら中国料理に向き合っています」(脇屋氏)

脇屋 友詞

Wakiya 一笑美茶樓 脇屋 友詞

Yuji Wakiya
1958年北海道生まれ。「山王飯店」などで修業。1996年に「トゥーランドット游仙境」をオープンし、新スタイルの中国料理を展開。2001年に「Wakiya一笑美茶樓」を開業。現在は東京と横浜で4店のオーナーシェフを務める。
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