マサズキッチン 鯰江 真仁 細切りアワビとキャビアが麺に絡む、人気の一品

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「マサズキッチン」のオーナーシェフ、鯰江真仁氏に紹介してもらったのは、冷麺用に特別に作ってもらっている細麺に、蒸しアワビの細切りとキャビアをのせた一品。繊細なアワビの細切りに、包丁の技が光る。味付けは中国料理の上湯(シャンタン)、太白胡麻油、塩でシンプルに仕上げた。

アワビとキャビアの冷たい麺|マサズキッチン
アワビとキャビアの冷たい麺

「今回紹介したアワビとキャビアの冷たい麺は、1年半ほど前からお出ししている評判のよい品。当店は7〜8品で作るコースをご提供していますが、この麺は、前菜のすぐ後でお出ししています。中国料理で麺というと食事の締めに食べる印象が強いですが、これは、前半に持ってきているのがポイント。以前イタリア料理を食べた時、コースの前半に冷たいパスタが出てきたのをヒントに考案しました」(鯰江氏)

味わいの面でのポイントは、蒸しアワビを麺と同じくらいの細さに切ることだという。

「薄切りにすれば見た目ではアワビの存在感を強調できるかもしれませんが、味わうなら麺とよくなじむこの細さが断然おいしいです。もともと中国料理では、青椒肉絲でもそうですが、細切りなら細切りという具合に、一つの料理の中では食材の形と大きさを切りそろえるのが定番。それを生かした仕立てです。なお麺は冷たい麺用に特別に製麺所で作ってもらっている、コシの強いもの。シコシコとした食感がアワビとよく合います」(鯰江氏)

一口食べれば、アワビの香りが口の中に広がり、そこにキャビアのコクのある塩気が混ざり合う。文句なしに美味、そしてコースの前半にちょっと変化をつけてくれる一品だ。

Photo Masahiro Goda

鯰江 真仁

マサズキッチン 鯰江 真仁

Masahito Namazue
1967年岐阜県生まれ。高校卒業後、岐阜や名古屋の中国料理店での修業を経て、1996年に東京・神泉「文琳」へ。12年間働き、うち3年間は料理長を務める。2008年に恵比寿に「マサズキッチン」を開業。
このシェフについて