ル・ブルギニオン 菊地 美升 王道現代フレンチ

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菊地氏の好きな、フレンチスタイル

クラシックな中に、モダンな要素も織り込んだフランス料理。ソースにもメインにも存在感がありながら、アクセント的に現代的な洗練もある。それが、「ル・ブルギニオン」の菊地美升氏が好きな料理だ。

「この軸を保ちながら、自分の中では、冷たい料理と温かい料理とで料理の表現を変えています。冷たい品ではモダンさ、盛り付けや器の美しさを意識。温かい品は食材をグッと前に出し、しっかりとしたソースを合わせるのが好きです」(菊地氏)

今回紹介する2品にもそれが当てはる。まずカニの前菜は、根セロリのサラダの上に、ほぐしたタラバガニを野菜のせん切りとあえて盛り、蕪のエスプーマ、ビーツやラディッシュとともに仕立てた一品。

タラバガニと根菜の前菜
タラバガニと根菜の組み合わせを楽しむ前菜。香り豊かな根セロリのサラダの上に、タラバガニを野菜とあえて盛り、蕪のエスプーマを搾る。冬の根菜ならではの香りと甘みがカニを引き立てる。

いずれも冬に味に旨みを増す、根菜とカニのマリアージュを楽しめる。

一方の「エスカルゴと骨髄、牛胃のロースト、赤ワインのピュレソース」は、20年来のスペシャリテ。骨髄の中にこんがりと焼いたトリッパとエスカルゴを詰め、酸味をきかせた赤ワインソースを流し、骨髄をのせる。ブルゴーニュでの修業先「エキュソン」の料理をベースに、菊地氏が大好きな食材、トリッパを加えて仕立てたものだ。

「フランスから帰る機内で考えた、思い出深い料理です」(菊地氏)

エスカルゴと骨髄、牛胃のロースト、赤ワインのピュレソース
「エスカルゴと骨髄、牛胃のロースト、赤ワインのピュレソース」は菊地氏の20年来のスペシャリテ。骨の中には、エスカルゴバターをからめたエスカルゴ、こんがり焼いてトマトソースであえたトリッパを詰める。赤ワインソース、焼いてトロリとさせた骨髄とともに。
菊地 美升

ル・ブルギニオン 菊地 美升

Yoshinaru Kikuchi
1966年北海道生まれ。都内のフランス料理店で修業の後、渡仏。モンペリエ「ル・ジャルダン・デ・サンス」、ブルゴーニュ「エキュソン」などで働く。帰国後「アンフォール」のシェフを経て、2000年「ル・ブルギニオン」を開業。華やかでありながら、フランス料理の伝統と、季節感と、自分の感性を大切にした料理を得意とする。
このシェフについて