ル・マンジュ・トゥー 谷 昇 情熱のフレンチ

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大胆にして繊細、老練にしてピュア。「ル・マンジュ・トゥー」谷昇氏の料理は、一品一品、快い驚きをもってもてなしてくれる。

昔ながらの伝統を守った一品

谷氏が大切にする伝統的な技法で作った「鶏のガランティーヌ」。ガランティーヌは、ブレス産の鶏を一枚に開き、中にフォアグラを詰めて巻いてゆで、それだけでも一品になるコンソメスープを贅沢なゼリーにして敷いている。

鶏、フォアグラ、コンソメの旨うまみが凝縮されて絡み合う、古き良き時代のフランス料理を感じさせる味わいだ。

鶏のガランティーヌ
一枚におろした鶏にフォアグラを詰め、フォンでゆでて旨みを閉じ込め、冷ましたものをいただく。口中に濃厚な旨味が広がる極上の一皿。

オリジナリティーを追求した「ル・マンジュ・トゥー」ならではの料理

一方のベジョータのローストは、どんぐりを食べて育った柔らかいイベリコ豚を0.8%の塩に漬けて5日間寝かし、ローストして締め、さらに1000℃以上の鉄板で煙が立たないように一気に網焼きにし、もう一度締めてからサラマンドルでじっくり焼き上げた、豪快にして手が込んだ料理。

そこに旬の筍を添え、ソースは塩漬け豚を蒸した時に出るジュースを使用する。中華の手法を取り入れた、新しいフレンチだ。

ベジョータのロースト
塩漬けにしたベジョータを煙臭さが出ないように高温で焼きつけ、さらにサラマンドルでゆっくり焼き上げた「イベリコ豚ベジョータのロースト」。トランペット茸を挟み、焼いた後にさっと醤油をたらした京都産の筍とともに。
谷 昇

ル・マンジュ・トゥー 谷 昇

Noboru Tani
1952年東京都生まれ。服部栄養専門学校在学中から「イル・ド・フランス」で働き、卒業後就職。76年と89年の2度にわたり渡仏し、「クロコディル」と「シリンガー」で経験を積む。帰国後、「オー・シザーブル」と「サバス」のシェフを務め、94年に「ル・マンジュ・トゥー」をオープン。2006年に改装。12年、辻静雄食文化賞専門技術者賞受賞。
このシェフについて