ナベノ-イズム 渡辺雄一郎 和とフレンチの融合

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「ナベノ-イズム」渡辺雄一郎氏が2004年に「ジョエル・ロブション」のシェフに就任した時、ロブションに初めて自ら提案した甘鯛の料理をご紹介。

ロブションも認めた一皿

甘鯛の料理

「当時は今ほど和とフレンチを融合させる動きはなかった。魚を鱗付きで出す料理も、ジョエル・ロブションの歴史の中で一切ありませんでした。そんな中で考え抜いて作った料理なので、『これでダメならシェフを辞めてもいい』という覚悟で試食をお出ししました」と話す渡辺氏。

冬の時期だったため、日本の冬を存分に感じさせる食材である甘鯛、百合根、柚子を用い、甘鯛は和の技法である松笠焼きで調理。ただし、フレンチの技法で作ったベルモットと柚子の香るナージュ仕立てにし、フランス料理の一皿として成立させた。

料理を試食したロブションは、「ワタナベーッ!」と渡辺氏の方を向き、「ルセットを!」と。

「名前を呼ばれた時は『怒られる!』と思ったのですが、どうやら説明のチャンスをもらえたようだ、と。それで料理の構成と意図を説明し、どうフランス料理を踏襲しているか伝えました」(渡辺氏)

ロブションは「うん、うん」と言いながら食べ、食べ終えた時に「ブラボー」と一言。渡辺氏が提案した方向性が認められた一品だ。ナベノ-イズムでも、冬のスペシャリテとして提供している。

渡辺雄一郎

ナベノ-イズム 渡辺雄一郎

Yuichiro Watanabe
1967年千葉県生まれ。辻調理師専門学校を卒業後、「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」に勤務。1994年、恵比寿「タイユバン・ロブション」の立ち上げから入店し、2004年から11年間、「ジョエル・ロブション」の総料理長を務める。2016年、浅草駒形にて「ナベノ-イズム」を開業。2019年にミシュラン二つ星を獲得。
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