まさにシチリアそのものという2品
シチリアは歴史上、いろいろな民族が支配してきた島。ギリシャ、ローマにはじまり、アラブ、スペインも。とくにアラブ人がもたらしたナッツや柑橘類はシチリア料理に欠かせないという「トラットリアシチリアーナ・ドンチッチョ」の石川勉氏。
「あとは、地元で獲れるマグロ、カジキ、イワシなどの青魚も、とてもシチリアらしい食材です」(石川氏)
今回そんな石川氏にまさにシチリアそのものという皿を2品紹介してもらおう。
まず一品目はパスタ。
「パスタは、魚介と合わせるのが定番の、幅広のパッケリというパスタを用い、ヤリイカ、ズッキーニ、セミドライトマト、ピスタチオのペーストとともに仕立てました。砕いたピスタチオ、すりおろしたマグロのカラスミをかけて仕上げます」(石川氏)
ピスタチオやマグロのカラスミは、シチリア名産。パッケリを噛み締めながら食べると、ヤリイカの旨み、トマトの酸味、ピスタチオのコクと風味が次々に感じられる、深みのある一皿だ。
2品目は分厚く切ったカジキマグロをソテーし、トマト、松の実、干しぶどう、オリーブ、ケイパーを合わせた「ザ・シチリア」なソースをのせ、オーブンで焼き上げたもの。「アグロドルチェ」つまり甘酢味は、シチリア王道の味わい。
「ふっくらと仕上がった香り高いカジキマグロとともに食べていただきます」(石川氏)
厚みのあるカジキマグロは、ふっくらとジューシー。そこにトマト、松の実、干しぶどう、オリーブ、ケイパーのソースを合わせた、シチリアの味だ。仕上げにリコッタ・サラータをかけて完成。
トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ 石川 勉
Tsuyoshi Ishikawa
1961年岩手県生まれ。84年にイタリアに渡り、シチリア、フィレンツェ、ボローニャで1年間ずつ修業。2000年に「トラットリア ダ トンマズィーノ」を独立開業。06年に移転、「トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ」オープン。
このシェフについて