ピアット スズキ 鈴木 弥平 ヴィーノ ヒラタのシェフ時代に考案した一皿

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アサリの代わりに小ハマグリを使った贅沢仕立て

断じて和風イタリアンではなく、創作イタリアンでもないが、日本の食材に寄り添い、日本人の味覚にスッとなじむ料理で、お客をとりこにする「ピアットスズキ」の鈴木弥平氏。

そんな鈴木氏が独立開業する前、クチーナ ヒラタの支店、ヴィーノ ヒラタのシェフを務めていた時に考案した一品「スパゲッティ小ハマグリと青唐辛子のボンゴレ」をご紹介しよう。

「ボンゴレ・ビアンコ」といえばアサリだが、代わりに小ハマグリをふんだんに使ったちょっと贅沢な仕立て。ハマグリの、お吸い物のような繊細な旨みが主役だ。

「独立開業前、20年ほど前に考案した品です。アサリは旨みが力強いので、乾燥赤唐辛子の辛さが合うでしょう。でも旨みがデリケートなハマグリにそれは強すぎる。そこで、ジワッと穏やかな辛さで、爽やかさもあるフレッシュな青唐辛子を使っています」(鈴木氏)

「ピアットスズキ」の鈴木氏考案:スパゲッティ小ハマグリと青唐辛子のボンゴレ

せっかく日本にいるのだから、日本の食材の優しい風味に合った料理を作りたい。そんな気持ちが、鈴木氏の料理のベースにある。調味料に関しても、昔から昆布や醤油を使っているという。

「アワビを醤油、オリーブオイル、日本酒で炊くのも定番です。ただし、あくまでも隠し味。これらの調味料は、食べてみて気づかない程度のごく少量でも、口にした時ホッとする味に仕上がります」(鈴木氏)

使い始めたのは20年以上前。当時は「醤油を使うイタリアンなんて邪道」という考えが主流だったそうで……。

「先輩方に叱られそうだったので、誰にも言わず、ひっそりと使っていました(笑)」

鈴木 弥平

ピアット スズキ 鈴木 弥平

Yahei Suzuki
1967年茨城県生まれ。「クチーナヒラタ」を経て渡伊し、4年間修業。帰国後は「ヴィーノヒラタ」のシェフに就任。2002年に「ピアットスズキ」を独立開業。ミシュラン一つ星を保持。「ケパッキア」など都内に4店舗を運営する。
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