レストランの多い代々木上原にて、9年間にわたり安定した人気を獲得している「イル プレージョ」。オーナーシェフの岩坪滋氏による、秋の素材を力強く、そして鮮やかに生かした一皿を紹介してもらう。

今回岩坪氏に紹介してもらった料理は、大麦のリゾット「オルツォット」に、大麦と同じ大きさに切ったいぶりがっこを入れて仕立て、バルサミコで煮た穴子をのせたもの。ソースは、旨みが強いシチリアなすを焼きなすにしてからピュレにしたものだ。
「これはオルツォオットのおいしさ、つまりは大麦のおいしさを表現した料理です。プチプチとした食感を、いぶりがっこのコリコリとした食感が引き立てます。穴子の主張も強いですが、実際に食べると最終的には“大麦の料理”と、大麦の存在感、力強さを感じていただけるはずです」(岩坪氏)
仕上げに、葉野菜のパウダーとカメルーン・ペンジャ産の香り高く辛みの強い胡椒をかける。
今回料理で使ったナスは、シチリアなす。
千葉県で西洋野菜やハーブを栽培する「エコファームアサノ」から仕入れたもので、ひときわ身が締まり、旨みが濃厚だ。

イル プレージョ 岩坪 滋
Yutaka Iwatsubo
1978年、東京都生まれ。調理師学校を卒業後、アクアパッツァグループに入り、日髙良実シェフに師事する。約5年後に渡伊し、3年間にわたりピエモンテ、カンパーニャ、ヴェネト、サルディーニャで働き、シチリアでも研修。帰国後は「リストランテ カシーナ・カナミッラ」のシェフなどを経て2012年に独立、「イル プレージョ」をオープン。
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