自由が丘の静かな住宅地の一角に、ひっそりとたたずむイタリア料理店「モンド」。オーナーシェフ宮木康彦氏の料理、ソムリエ田村理宏氏のサービスを求めお客が集う。今回は宮木氏に、スペシャリテのパンと、素朴なプーリアのパスタを紹介してもらった。
「 スペシャリテは?」と聞かれると、5種の自家製パンを紹介することが多いという宮木氏。
「パンがスペシャリテ? と思われるかもしれませんが、これは、私が東京とイタリアで教わってきたパンを盛り合わせたもの。強い思い入れがあります」(宮木氏)
内容は、北部のトレンティーノ・アルト・アディジェ州で学んだ黒パン、南部プーリアで教わったタラッリーニ、「クチーナ・トキオネーゼ・コジマ」で小嶋(正明)さんに教わった全粒粉の丸パンなど。ハーブがきいていたりオリーブオイルが練り込んであるなど、風味や食感が変化に富み、ワインともよく合う。
次に紹介するのは、プーリア伝統の、焦がし小麦を使ったオレキエッテ。山形の「お日さま農園」から送ってもらう季節の野菜とともにゆで、シンプルにオリーブオイル、カラスミをかけて仕上げる。
「プーリアの伝統では野菜をクタクタにゆでますが、ここでは野菜個々の風味をしっかりと生かしたいので、それぞれに見合ったゆで加減とします。また、野菜の風味や、焦がし小麦独特の香ばしくもふくよかな風味を大事にしたいので、提供温度は熱々よりもやや冷めた頃合いが理想。シンプルですが、しみじみと、そして生き生きとおいしい一皿です」(宮木氏)
Photo Masahiro Goda
モンド 宮木 康彦
Yasuhiko Miyaki
1976年神奈川県生まれ。調理師学校卒業後、「アクアパッツァ」にて約10年間修業。渡伊し、伝統料理の店、気鋭の三つ星店の両方で修業し、郷土料理と最先端のイタリア料理を学ぶ。帰国後、2008年に「モンド」をオープン。
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