モンド 宮木 康彦 スペシャリテのパンと、素朴なプーリアのパスタ

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自由が丘の静かな住宅地の一角に、ひっそりとたたずむイタリア料理店「モンド」。オーナーシェフ宮木康彦氏の料理、ソムリエ田村理宏氏のサービスを求めお客が集う。今回は宮木氏に、スペシャリテのパンと、素朴なプーリアのパスタを紹介してもらった。

イタリア料理店「モンド」のスペシャリテのパン
パンは、宮木氏が修業中に各地で学んだ5種を詰め合わせて提供。ハーブやチーズ、オリーブオイルが香り、ワインが進む。デザインが印象的なパンの器は、懇意にしている作家によるもの。

「 スペシャリテは?」と聞かれると、5種の自家製パンを紹介することが多いという宮木氏。

「パンがスペシャリテ? と思われるかもしれませんが、これは、私が東京とイタリアで教わってきたパンを盛り合わせたもの。強い思い入れがあります」(宮木氏)

内容は、北部のトレンティーノ・アルト・アディジェ州で学んだ黒パン、南部プーリアで教わったタラッリーニ、「クチーナ・トキオネーゼ・コジマ」で小嶋(正明)さんに教わった全粒粉の丸パンなど。ハーブがきいていたりオリーブオイルが練り込んであるなど、風味や食感が変化に富み、ワインともよく合う。

イタリア料理店「モンド」のパスタ
焦がし小麦の粉を用いたオレキエッテを季節の野菜とともにゆでた、シンプルな一皿。焦がし小麦は、イタリア南部プーリア州で伝統的な粉。香ばしく、しみじみとした独特の風味が魅力で、イタリアの友人から粉を取り寄せている。

次に紹介するのは、プーリア伝統の、焦がし小麦を使ったオレキエッテ。山形の「お日さま農園」から送ってもらう季節の野菜とともにゆで、シンプルにオリーブオイル、カラスミをかけて仕上げる。

「プーリアの伝統では野菜をクタクタにゆでますが、ここでは野菜個々の風味をしっかりと生かしたいので、それぞれに見合ったゆで加減とします。また、野菜の風味や、焦がし小麦独特の香ばしくもふくよかな風味を大事にしたいので、提供温度は熱々よりもやや冷めた頃合いが理想。シンプルですが、しみじみと、そして生き生きとおいしい一皿です」(宮木氏)

Photo Masahiro Goda

宮木 康彦

モンド 宮木 康彦

Yasuhiko Miyaki
1976年神奈川県生まれ。調理師学校卒業後、「アクアパッツァ」にて約10年間修業。渡伊し、伝統料理の店、気鋭の三つ星店の両方で修業し、郷土料理と最先端のイタリア料理を学ぶ。帰国後、2008年に「モンド」をオープン。
このシェフについて