蓮 三四七 三科 惇 香りもごちそうに。松葉がにの一品

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料理で心がけているのは、一品の中で食材をあまり組み合わせないことだと話す「蓮」の三科惇氏。基本的にはシンプルに。今回紹介する料理も、松葉がにを炭火で焼いたもの。カウンターで焼くので、香りもごちそうになる。

シンプルな料理を妥協なく

蓮の松葉がに料理
松葉がにを、カウンターに七輪を置いて炭火で焼く。立ち上る香ばしい香りも冬のごちそう。焼きあがった姿からは、殻に詰まるふっくらとした身が見えるよう。食べやすいように身をほぐして、すだちを添えて提供する。

「焼きあがったらほぐしてお出しし、酸味のあるものをつけて召し上がっていただきます。その他の料理も、例えば焼き物では、金目鯛は七味醤油で風味をつけ、炊いた海老芋を添えて。揚げ物では甘鯛としいたけをフライに。一品ずつはあまり押しが強くないのですが、全体を食べ終えて数日して『そういえば、おいしかったな』と感じていただけるような料理を目指しています」(三科氏)

注意しているのは、親方である、「石かわ」の石川秀樹氏の教え。それは「最後の最後まで妥協しないこと」。仕上げにかける生姜の搾り汁の量はどれくらいが最適か1滴単位で考える、という具合だ。また、最近は仕込みにいっそう時間をかけるようにしているそう。

「海老芋を蒸すなら、以前は20〜30分で火を入れていましたが、今はとろ火でじわじわと、2時間ほどかけています。そのほうが微妙に甘みが出るのです。蕪も、1時間ほどかけてゆっくり炊き上げます」(三科氏)

どうすれば食材がより生きるか、日々試行錯誤しているのだ。

三科 惇

蓮 三四七 三科 惇

Atsushi Mishina
1983年神奈川県生まれ。調理師学校卒業後、学校職員を経て川崎日航ホテル内「築地おつぼ」にて修業。その後「石かわ」「虎白」を経て「蓮」に。2013年からは同店の料理長を務める。
このシェフについて