てのしま 林 亮平 季節の食材を生かした料理

Loading

「てのしま」は、気取らない雰囲気で、飾らない、それでいて料亭仕込みの技術による日本料理が食べられる店。主人の林亮平氏が「みんなの和食」と掲げる通り、名店を食べ歩く食通からも、日本料理店初心者の若いお客からも人気を博している。自店を開いてから、林氏はあえて「高級日本料理店では使わない魚」を積極的に用いているそうだ。「仲卸や漁港の方々に、その時獲と れたものを見繕って送っていただきます。そこから料理を発想しています」と林氏。今回はそんな林氏にヘダイといとよりの2品を紹介してもらう。

秋冬に脂が乗るヘダイのお椀

てのしまのヘダイのお椀

タイの仲間の一種であるヘダイは秋冬に脂が乗る。このヘダイに黄ニラを合わせ、白みそ仕立てにしたわん。ベースとなるだしは、熱々の湯に焼いたヘダイのアラを入れてふたをし、火にかけることなく自然に風味を抽出したもの。雑味がなく、かつ力強く旨み豊か。このだしで炊いた大根とともにヘダイの身と黄ニラを盛り、白みそ仕立ての地を張る。仕上げの香りは粉さんしょう。

「即席なれすし」をイメージしたいとよりのお造り

てのしまのいとよりのお造り

いとよりのお造りに、店で醸している米麹を合わせた一品。いとよりは普段料理店では使われない魚だからこそ、その価値に光を当てるべく、あえて使用。なお米麹をかけたのは、発酵(米麹)と生(いとより)を組み合わせた「即席なれすし」のイメージ。生き生きとしたいとよりに、米麹の深みと自然な甘みが寄り添う。

Photo Masahiro Goda 

林 亮平

てのしま 林 亮平

Ryohei Hayashi
1976年、香川県生まれ。大学卒業後に「菊乃井本店」(京都)に入り村田吉弘氏に師事。17年間にわたり菊乃井で働く。2011年には上海万博会場の料亭「紫」料理長を務め、菊乃井では本店副料理長や赤坂店渉外料理長を務める。2018年、「てのしま」を独立開業。
このシェフについて