麻布 かどわき 門脇 俊哉 伝統の味の極致

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「麻布 かどわき」の主人、門脇俊哉氏の料理は、キャビアやトリュフを大胆に用いた品と、しみじみとした味わいが魅力の伝統的な品を自在に組み合わせてコースで構成するなど、実に幅が広い。確かな技術をベースに、「お客さまの喜びのため」というサービス精神を徹底することで多様な品々が生まれているからだ。

今回そんな門脇氏が紹介してくれた炊き合わせは、伝統の味の極致。「車海老も入っていますが、この料理の見どころは海老芋です。出汁がしみ、ねっとりと柔らかく、冬の根菜独特の甘みと深さがある。一見地味ですが、心に響く味です」と門脇氏。

「かどわき」の冬の素材の炊き合わせ

冬の素材の炊き合わせ。出汁の味をよく含ませながら炊いた海老芋と聖護院かぶらが、車海老の旨みと調和。出はじめの京菜の花の美しい緑が、早春の訪れを予感させる。御所車が描かれた銀溜(ぎんだめ)のわんは、輪島・高洲堂のもの。京画壇で活躍した橋本関雪の書を配した折敷(おしき)にのせる。

Photo Satoru Seki

門脇 俊哉

麻布 かどわき 門脇 俊哉

Toshiya Kadowaki
1960年、北海道生まれ。六本木の高級割烹「越」に就職して料理の道へ。「つきじ植むら」湯島店、高輪茶寮店、「エスカイヤクラブ」新宿店、「鴨川」霞ヶ関店、東天紅系列の和食店「海燕亭」千葉スカイウインドウズ店で料理長を務めたのち、2000年に「麻布 かどわき」を独立開業。2006年に麻布内で移転。ミシュランガイド東京2020より三つ星。
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